「🇵🇪 ペルーアマゾンでの冒険」

なまず博士 松坂實氏を追って~ペルーアマゾンまで
 ナマズ博士としてテレビ、雑誌、熱帯魚マニアに有名な松坂實氏が「第8回だいじょうぶだアマゾン探検隊ツアーでペルーのイキートス市に立ち寄る」と池袋で開催中のアマゾン展で本人から聞いたのを思い出し、私もちょうどその時にペルーのリマ市に仕事で行く予定だったので、ちょっと足をのばしイキートスに行って松坂氏と再会する計画を立てた。

イキートス行き

 日本からアメリカン航空、ダラス経由で約24時間かかってやっとリマのホルヘチャベス空港に到着。アメリカのテロの直後だったため飛行機はガラガラ、身体と荷物チェックは異常に厳しかった。身体はずっとシートに座っていたためヘトヘトだ。
 友人のキケに迎えに来てもらい彼の家まで向かう、家に到着したのがAM 1:00 そうしたら家の前で彼の従兄弟が誕生日パーティーを開いたためそこでビールを飲んでペルー料理を食べ結局朝になってしまった。
 イキートス行きの飛行機はAM11:00発なのでとりあえず3時間程仮眠をとり、またまた空港に向かうリマからイキートスまでは、アエロ・コンチネンテ航空で1時間30分。いつものことながらアンデス山脈を越えたプカルパ付近での乱気流による飛行機の揺れには、手に汗握る思いだ。

ホテルにチェック・イン

 イキートス空港着、アマゾン地方独特の臭いと熱帯の太陽光の強さに自然と気持ちが高ぶってくるホテルは、熱帯魚輸出シッパーであるアマゾンフィッシュのオーナーエウニッセ夫人が経営するホテル・レージェンシーをリマで予約していたため、そこまでモト・タクシーで向かう。宿泊代は知り合いということで1部屋2人利用で1泊US$20.00-で特別に泊めてもらう事になった。

偶然の再会

 近くのバーガーショップで昼食をすませてホテルに戻る途中、前方から見覚えのある顔がバイクに乗ってこちらに向かってくる。なんとリチャード夫妻である、彼らとは5年ぶりの再会だ、お互いまた会えたことを歓びあい、翌日の朝食を一緒にとる約束をして別れた。

松坂氏がイキートスにいない!?

 ホテルにもどり松坂氏が宿泊しているという家に電話をすると、使用人がでて「彼ら一行は昨日ブラジル・タバチンガから船で着いて今日AM6:00発の船でレケーナに行った。イキートスに戻ってくるのは、一週間後だ」と言う、そして「レケーナまでは高速船でイキートスから12時間以上かかる」だと、日本でもらった彼らのスケジュール表では、今日イキートスに着いて明日にレケーナに行く予定になっていたのに???よくよく聞いてみるとブラジル・タバチンガからの船が一日早く出発することになってスケジュールが一日ずれたとの事、私はイキートスで突然、松坂氏の前に現れてビックリさせようと思ったの...3日後にはリマに戻らなくてはならないのに...お先真っ暗、これからどうしよう...

レケーナに向けて(Part1)

 せっかくイキートスまで来たのだからこのままリマに戻るのもと思い、今度はレケーナ行きを計画、市内の旅行会社や物売りの人々にどうやったらレケーナに早く行けるか聞いて歩いた。小型飛行機やモーターボートをチャーターして行ったらどうかなど色々と言われたが、その中で「翌朝にレケーナに出発する高速艇がある」「ナウタという町まで新しい道路ができているからそこまでバスで行きナウタからレケーナはボートで行ける」と言われたのでこのどちらかで行く事をきめた。
 早速ボート会社の船着場に行って確認したところ翌朝AM6:00にレケーナ行きの高速艇があると言われたので、この予約をして、とりあえず翌日のリチャードとの約束はキャンセルして、今日はレストランでチーファ(中華料理)を食べて早く眠ることにした。

レケーナに向けて(Part2)

 ホテルのレセプションにAM5:00に起こしてもらいAM5:30に昨日の船着場に行ったところ「今日はタバチンガ行きの船しか出港しない、レケーナ行きはなし」だと、昨日予約までしているのに何故こうなるのか?もう慣れているとはいえラテンの世界では当たり前のことなので、しょうがなくナウタ行きのバスを探す事にした。
 ベレン地区のマーケットでは朝市がある、たくさんの乗合バスが集まるためここに行けばナウタ行きのバスがあると思い行ってみた。ちょうどAM7:00発のバスがあったので運転手に言って座席を取っておいてもらった。料金は一人8ソル(\280-)、出発まですこし時間があったため朝食をとりに市場のレストランに行く。そこで塩漬けの乾燥ピラルクをフライにした物が売っていたのでこれをパンにはさんで食べた。コーヒーが付いて5ソル(\175-)これがまたとても美味で3個も食べてしまった。

レケーナに向けて(Part3)

 AM7:00ナウタに向けてバスが出発、ナウタまでは約100kmの道のり予定ではAM9:00に到着だ。道は途中まではアスファルトで舗装されていたが、それから先はただの砂利道。ところどころでは泥水で道が切断されていて、そのたびにスピードを落とし蛇行しながらタイヤがわだちに取られないように進むため思ったより時間がかかる。昨日は雨で道路が切断され3時間バスを止めて復旧するのを待ったとのこと。バスは途中途中でヒヨコを載んだり、狩りで捕ったワシを持った客を乗せたりしながら、賑やかに進んでAM9:20にナウタに到着

レケーナに向けて(Part4)

 さあここからレケーナにはどうすれば行けるのかと考えながら、とりあえず川に出てみる事にした。マラニョン川の船着場で1隻のボートが来た、船主に事情を説明してレケーナまでの往復の値段交渉をした。船主は「レケーナに行くには、このマラニョン川を下流に約50km約30分かけて進み、アマゾン川本流の起点(ここでマラニョン川とウカヤリ川が合流する)をウカヤリ川に入り上流に約4時間上ったところにレケーナの町がある。」と言った。料金はプロフィールという名前の運転手2日分の費用200ソル(\7000-)と別にガソリン代で行ってもらうことになった。ボートはジョンソン製65馬力のエンジンを積んでいる、これなら早く快適にいけるだろう。

レケーナに向けて(Part5)

 川上のガソリン・スタンドで給油しパンとジュースを買って出発、今日は雲がでていてボート上の風はとても気持ちが良い。マラニョン川とウカヤリ川がぶつかってアマゾン川本流になる点では、川の色川の流れが全然違っていて自然のすごさを目のあたりにした。
 川では所々でイルカが背中を見せて泳いでいる中にはピンク色をしているのもいる。どこから姿を表すかわからないため、このイルカ達を見つけるのがとても楽しい。
 ボートは、川岸で栽培している米や豆、ジャングルの風景に鳥、猿、カメ、ワニ達を見ながら順調に進み夕方4時すぎにレケーナの町へ到着

松坂氏に会う

 船着場にボートを止める。運転手のプロフィールとは「ボートが盗難に遭わない様ボートで寝る」といっているのでここで別れる。レケーナの町には2つのホテルがあり、その1つに行ってみた松坂氏一行は、「昨日来て1泊し今日朝ここをチェック・アウトしてその後は知らない」との事、「また別の町に行っていたらどうしようと思いながら」もうひとつのホテル(リオ・セコ)に行って宿主に聞いてみると「一行は釣りに行っていてPM5:00過ぎに戻ると」言っていた。(彼らの荷物もあったのでホッとした気分)
後で聞いてみたら最初のホテルは昔病院で、部屋のカベに人間の手の形をした血のあとがあったり消毒薬の臭いがしていたりで、とても怖くて泊まれるところではなかったらしい。
 ちょっと時間があったので店で釣り針と糸を買って近くの湖で釣りをした、釣れるのは10cmくらいのピラニヤばかりそれもナッテリー、ダイヤモンドetc.色々なタイプが入れ食い状態。
 釣りを終えてホテルに戻るとベランダに、中島氏(松坂氏の義兄)がいた。彼とは1年前にカブトムシ採取でイキートスに行った時に以来だ。中島氏と話しをしていると、そこへ松坂氏登場、長い道のり時間をかけてきただけあって「よくこんなところまで来たなー」と暖かく迎えてくれ、とても嬉しかった。 その夜は「だいじょうぶだアマゾン探検隊ツアー」一行の日本人4人とともにその日彼らが釣り上げた魚を松坂氏がさばき、それを刺身で食べ、ビールを飲んで夜更けまでみんなでアマゾンと熱帯魚の話しで盛り上がりそして床についた。

熱帯魚採取へ同行

 AM6:30にホテルで朝食をとりボート3隻で出発、目的地はアレマン川の支流、途中ピンク・イルカを探しながら約2時間で支流に到着、ここで釣り班と熱帯魚採取班に別れる私は採取班に加わり松坂氏特製の採取網で川に入りアピスト等の熱帯魚を採取した。
 お昼になったので釣り班と合流して近く小島でホテルから持ってきた”おこわ弁当”を食べる、ここで私はイキートスへ戻るため日本での再会を約束して松坂氏一行と別れた。
 彼ら一向はこの後、インカ帝国で有名なクスコからボリビア側に降りた場所「マードレ・デ・ディオス」というジャングル地帯に行くという、この場所はまだ熱帯魚の分野では未開の地のひとつで新種の熱帯魚がたくさん棲息している。私にとっていつかは、行って見たい場所のひとつだ。

イキートスへの帰路

 レケーナに戻りガソリンを購入、来るときは37ガロン使ったので帰りは、「川を下るので30ガロンあれば大丈夫」とプロフィール運転手が言うので30ガロンをタンクに入れる。これが後でとんでもない目にあうとは...
 PM2:30レケーナを出発、ナウタ到着はPM5:30頃そこからバスに乗りイキートスへは、PM9:00には着くと思った。ボートはウカヤリ川を下流に向かって走る途中チーズ作りで有名な町(ヘナリオ・ジェレーラ)に立ち寄り生チーズとパンを買う。川岸で漁師が網を投げていたので、何が捕れるか聞くと「2メートルぐいのエイが捕れる」だとエイは尾に毒針をもっているのでこんなのに刺されたら大変なことになるだろう。
 プロフィールとアマゾンの不思議な伝説話など色々な話しをしながらナウタの町に向けてボートを快調に走らすPM6:00頃になり太陽が雲をオレンジ色に染めて辺りがだんだんと暗くなってくるアマゾンの夕日はとてつもなく綺麗で神秘的である、この時間になると鳥の群れが空を大群で飛んで川を越えていく。プロフイールにあと何分でナウタに着くか聞くと「30分ぐらい」という。しかしここでトラブル発生、ガソリンが無くなってエンジンがストップ、辺りはもう暗くなっている、空にはいまにも落ちてきそうな星と半月の月が出ている、ボートはアマゾン川本流に向かって流されている、私はこのままアマゾンの川の上で一晩を越すのか思うと半分あきらめの心境になった。
 プロフィールはボートの後方で何かをゴソゴソと探している、なにかのビンを持ってきた、そこには4ガロンのガソリンが入っていた。彼は笑いながらガソリンをタンクに入れエンジンを駆けた。10分程ボートを走らすと前方にナウタの町の明かりが見えてきた。月明かりの下を上流から流れてくる流木を必死に避けながらボートを全速力で走らす、もし巨大な流木にぶつかったらボートは大破してしまいカンジルというピラニヤより怖い魚のエサになってしまうだろう。
 そして私たちは無事ナウタに帰ってきた。プロフィールにお礼を言い、すぐにイキートス行きのバスを探すPM8:00発の最終便のバスがあった、すぐに飛び乗りシートに座るとどっと疲れがやってきた。ウトウトして少し眠ってしまった。起きて時計を見るとPM8:30バスはいっこうに出発する気配がなく運転手もいない。乗客にほんとうにこのバスは今日出るのか聞いてみると「この様子では今日は出ないかも知れない。このような事はちょくちょくある」と、そこへ一台のカローラ・バンがバスに近づいてきたイキートス・イキートスとの声が聞こえる。私はすぐにバスを急いで降り、何人かのペルー人とともにカローラ・バンの後部座席に飛び乗る。運転手はイキートスまで10ソル(\350-)だという、カローラバンに運転手を含めて9人が乗り出発、私はすぐに眠りについた。車は来たときのオンボロ・バスと違いスピードを出している目がさめた時には見覚えのあるイキートスの町へ着いていた。

最後に

 翌日イキートスの友人達に別れの挨拶をして午後のアエロ・コンチネンタル航空でリマに戻る。リマでは仕事の毎日が待っていた。
 今回の松坂氏一行の「第8回だいじょうぶだアマゾン探検隊ツアー」の内容は熱帯魚雑誌、アクアライフの2001,12号2002,1号に掲載されてます。